三月五日   佐藤文香

 

君の死が見えてゐるなり春の朝

 

三月や遠くへ何も持たずゆく

 

のちの世に梅あらば梅撮りて来よ

 

夢の如きは一昨日迄の櫻なる

 

たいしたことのなき腕おもふ焼野かな

 

あの犬を欲しがつたつけ桃の花

 

けふ生きてゐて卯の花に桜海老